2012年6月28日(木)
2012-06-28


 彼らが支持するのは、前回の選挙で1%未満の僅差で現大統領に敗北した、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール元メキシコ市長(通称AMLO)。昨日、メキシコ・シティで行われたキャンペーンでは、なんと10万人が集まったという! 写真で見ても、あながちこの数字は誇張ではない様子。
 それでも、おそらくはEPNが当選という結果になると、メキシコの者たちは過去に繰り返された不正の経験から、知っている。
 さらに、モントリオールでのデモは知っているだろうか? 名門のマギル大学を舞台に、昨年、強硬な学費値上げに反対する学生たちの抗議からそれは始まった。ところが、これを大学側はモントリオール市ともに強制排除をしようとし、学生の怒りを拡大させる。デモが広がり、収まる様子を見せないと、モントリオール市はデモの届け出制を議会で決める。このやり方に、今度は市民が激怒。学生と市民が一体となって、連日のように大規模なデモが繰り広げられている。警官をハグして回る アナルコパンダ なる者も現れたり、ヌードでデモを展開したり(朝日新聞はこれに惹かれてようやくデモを報道した)、じつに多面的な活動を広げている。
 いずれにも共通するのは、あからさまな強権指向である。これまでは民主的な手続きや体面をとりあえずは取る必要があったために控えられていたようなやり方が、世界の各地で、いわゆる「先進諸国」であろうがなかろうが、なりふり構わず一方的に、暴力的にまかり通り始めている。
 リーマンショック後、そのような強権指向にストップがかかり、アメリカと日本では民主党政権が誕生した。だが、この失敗は、政治への諦めと無関心、それにともなう苛立ちや不満を、爆発的に増大させた。その結果が、このような強権的な暴力への、より大規模な回帰をもたらした。
 デモという抗議の表明行為は、残された数少ない手段の一つだ。だが、それは、社会を敵か味方に分断し、二項対立の感性を標準にしてしまいかねない、という大きな負の側面もともなう。私は非常に複雑な気分である。それでも、金曜の集まりを支持している。モントリオールのように、 粘り強く関心を持ち、続けることが重要だから。


戻る
[政治]
[エッセイ]

コメント(全0件)


記事を書く
powered by ASAHIネット